米中時代の終焉 2020 8 23
書名 米中時代の終焉
著者 日高 義樹 PHP新書
「籠城作戦か」
日高氏の著作は多く読んでいますが、
PHP新書から出版されるのは、初めてかもしれません。
いつもはハードカバーの本で出版されています。
さて、中国が、なぜ香港という「特権」を放棄してしまったのか、
それについては、諸説あります。
多くの日本人は、香港というと、
観光やグルメを連想するでしょうが、実は「裏」があるのです。
香港の「特権」とは、この本から引用すると、以下のとおりです。
中国が、香港という特別自治区を使って、
中国国内から世界へ資本を動かすことや、
世界からの資本を、香港を通じて中国国内に受け入れることだった。
外国企業が安全保障上、
中国に売ることができない技術や兵器を、
香港の企業に売るという名目のもとで、
中国側に売り渡す仕組みが作られていた。
このことは、中国にとってだけでなく、
アメリカをはじめ周辺のアジアの国々にとっても必要な措置であり、
経済的な繁栄を続けるためには、
維持し続けなければならない現実であった。
ところが、そういった中国が享受してきた、
経済的、財政的な特権を無視してまで、
イギリスをはじめ世界との約束を破り、
香港という自治区を中国の領域として強奪してしまった。
(引用、以上)
中国は、日本と同じように、
外国から大量の原油や食料を輸入しなければならない状態です。
このような状態では、外交政策は、
必然的に国際協調主義にならざるを得ないのです。
月並みな言葉で言えば、「八方美人」のような外交です。
にもかかわらず、中国の外交政策は、強権的なものとなってしまいました。
このような外交が招く結果は、実質的な「籠城」です。
ある程度、原油や食料や資本を確保したから、
中国は、本土にたてこもり、籠城作戦を敢行するつもりなのでしょうか。
このような持久戦をしているうちに、
欧米諸国の政権が代わり、融和的なものとなると期待しているのかもしれません。
諸外国も、14億人という巨大市場が魅力的に見えるでしょう。
宗教界にとっても、14億人という巨大市場になります。
キリスト教にとっても、イスラム教にとっても、最後の決戦となるでしょう。
もちろん、仏教や道教にとっても、大逆転のチャンスでしょう。
ヒンズー教は、巨大宗教なのに、進出のチャンスがないかもしれません。
宗教の世界地図から見れば、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教が、
中国を取り囲んでいる状態です。
いずれにせよ、貧困、経済格差、災害は、宗教にとって布教のチャンスでしょう。